[1338-201609] お風呂で使わないために。Apple Watch Series 2の「50m耐水」を前に改めて「防水」について見直しておきましょう。

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時計好きからすれば「何を今更」な話題なのですが、今まで時計に興味がなかった方、今後も興味を恐らく持たないであろう方にとっては意外とまだ浸透していない気もしますので、折角なので改めて触れてみたいと思います。

時計における防水の話です。

ここではなるべく簡単に触れますが(腕時計の防水に関しては調べれば幾らでも時計メーカーや時計店の説明が出てきますので。個人のブログは参考程度に留めておきましょう。私の文章も含めて。)、ここではそのきっかけとして「あ、そんなものなの?」と新鮮な気持ちになってくれれば嬉しいです。それでも長いよ。既に知ってる方はスルーして。

iPhone7やApple Watch 2で改めて「防水」「耐水」が意識されてくると思う。

厳密に言えばスマートフォンとスマートウォッチの「防水性能」「耐水性能」は別です。勿論測定の仕方はそれぞれ基準に基づいて同じですが、そもそも想定される用途が違うからです。iPhone7(等級IP67は防水に関してはApple Watch 1と同じ。1は水に浸すことは推奨されていません。)を手に持ってプールでクロールやバタフライで泳がないでしょ。

同様に、ここでちょっと「防水性能」と「耐水性能」が出てきましたが、敢えてこう出したのは今回Apple Watch Series 2が「50mの耐水」と表記してきたから。「防水スプレー」と「撥水スプレー」が厳密には効果も用途も異なるのと同様、似て異なるモノの場合もあるので。

[0398-201412] 忘年会のシーズンに。覚えておくと便利な撥水スプレーの使い方。

2014.12.11

実際には防水性能を表す表記としてお馴染みの「Water Resistant」をそのまま「防水(Waterproof)」ではなく「耐水(Water Resistant)」と訳したのではないか、という話のような気がしますが。

腕時計を付けたまま風呂に入ったら水が入った。防水なのに。

これはよく聞く話です。特に腕時計は1日腕にしていると汗などで汚れるので、出来れば一緒に洗ってしまいたい、という方も多いでしょう。またスマートウォッチのプロモ動画などを見ていても、普通にシャワー浴びてるのはよく見かけます。あとはプールで泳いでいる、とか。

泳ぐ、という事に関しては後で改めて触れますが、ひとまずここでは入浴。これ、ちょっと日本独特の状況かもしれません。頻度が高い、という点では。お風呂好きにとっては毎日贅沢にお湯を使って入れる、というのは世界で見ても稀な国です。

さて。結論からすると「全くオススメしません」。勿論お風呂に入ったらといって即浸水する、ということではなく、意外と大丈夫なことも多いのですが、以前時計店の店頭に立っていた頃なら尚更薦めません。

水とお湯は似て全く異なるモノです。

この辺り細かく書いていくとそれだけで何記事も書けてしまうので、今回は簡単に触れると、「水」と「お湯」はそもそも環境が異なるからです。その理由はお湯の温度があります。

スマートウォッチの場合には機械式時計に比べれば電子機器が多い分、細かいオイル等のパーツに関しては少なめになっているとはいえ、時計本体の本体の温度が上がることでオイルが異常をきたしたり、またお湯に触れることで外部との温度差で水蒸気が発生する場合が多々あります。冷たい外と暖房付けた室内を遮る窓ガラスに付く水滴のような感覚ですね。

また、スマートフォンの密閉の方法にもよりますが、腕時計などと同様パッキング(セイコーはパッキン)と呼ばれるゴムのようなものをつなぎ目(蓋など)に付けて水の侵入を塞ぐ場合もあります。これらは当然水に入ったり、また時計自体傷付いたり日にちが経つにつれ徐々に劣化していきます。購入当初は良くても、半年後、一年後は保証できません。

シャワー浴びてるじゃん、と言われますが、シャワーと入浴ではそもそも水に対する接し方が異なります。時間から、腕時計に水が触れている時間、更にその際にかかる水圧まで。

水とお湯は全くの別物、と考えて頂くと分かりやすいと思います。基本水ベースに防水、耐水は考えられています。

画像はセイコーウォッチ株式会社のサイトよりお借りしました。

画像はセイコーウォッチ株式会社のサイトよりお借りしました。

今回Apple Watch Series 2が「50mの耐水」と表記してきたこと。

Apple Watch Series 2にはISO規格22810:2010にもとづく50メートルの耐水性能があります。これは、プールや海で泳ぐなど、浅水でのアクティビティで使用できることを意味します。ただし、スキューバダイビング、ウォータースキー、高速水流または低水深を超える潜水を伴うその他のアクティビティにはApple Watch Series 2を使用しないでください。

これはAppleという巨大企業が技術の粋を結集して開発した以上、公称の「ISO規格22810:2010にもとづく50メートルの耐水性能」は間違いないと思います。規格はある程度統一されていても、そこに余裕を持たせるか数値ギリギリの防水性能かはメーカーに委ねられますが、Appleならある程度余裕を持たせた耐水性能で作ってきてると思います。世界展開する以上、訴訟やクレームが多発したら痛いでしょうし。

で、今回個人的に気になるのは、Apple Watchって普段のマニアな時計好きとは違った層に使われる、ということです。時計マニアでも防水性能って誤解している方が多いのですが、一般の方なら尚更です。それは仕方のないことです。

50m防水は果たしてどれくらいの防水性能があるのか。

50m防水なんだから、泳いでも大丈夫だし水につけても大丈夫だし、濡れっぱなしでも大丈夫だよね。第一50mなんて潜らないし(笑)

多くの方にとってはこれくらいのイメージかな、と。ただ、例えば一般的に「50m防水」と謳っている腕時計の多くは、「一般用防水(Water Resistant)」50mです。これ、潜水などプロフェッショナルが用いる時計に表記される「潜水用防水」とはそもそも規格が異なります。

50m防水というのは、基本的には「水深50mの水圧に耐えうる防水性能」です。勿論一般にはありませんが、もし私たちが50m潜ったとして、その場で腕を動かせば、その時点で50m以上の水圧がかかります。あくまで静止状態で50m地点まで時計を沈ませて、そこでかかる水圧には耐えられますよ、という基準です。(実際には50mには潜らないので、数m付近で単純に腕を動かす程度であればそこまで気にする必要がないとも言えます。)

同様に「○○気圧防水」というのがありますが、これも厳密にはイコールではないのですが、「1気圧=10m」で変換されます。50mなら5気圧です。表記によっては今回のApple Watchは「5気圧防水」と言えるかもしれません(そこを敢えてISO等を明記して「50m耐水」と謳うからには「5気圧防水」とは別物なのでしょう)

さて、この5気圧防水。気圧表現は基本的には潜水用防水では使用されませんので、一般的な防水時計の表記です。目安として10気圧防水以上は水中使用が可能、とされています。こうなると、先ほどのApple Watch、もし表記が5気圧防水であればプールなどもあまりオススメは出来なくなってきます。

画像は一般社団法人 日本時計協会サイトよりお借りしました。

画像は一般社団法人 日本時計協会サイトよりお借りしました。

ちなみに上の画像は一般社団法人 日本時計協会のサイトの下記の記事にあった表をお借りしました。

防水時計の種類と取扱い上の注意点を教えて | 日本時計協会 (JCWA)

ここでの5気圧防水に関する説明もよく読むと結構微妙でして、当たり障りのない、けれど何か言われたらどう返すんだろう?と気になる記述でもあります。

水に触れる機会の多い水仕事(漁業・農業・洗車・食堂など)や水上スポーツ(水泳・ヨット・つりなど)をされる方にお使いいただけます。
素潜り(スキンダイビング)及び飽和潜水用や空気潜水用に使用しないで下さい。
5bar以上の防水時計でも水圧の激しいシャワーや水道水が直接時計に当たらないようご注意下さい。

「水泳は可能」なのに、「水圧の激しいシャワーや水道水」が直接時計には当たらないように、というのはどのくらいの水泳を想定しているのか気になるところです。ただ、これが一般的な5気圧防水の定義に近いかな、とは思います。

防水の定義って難しいので、基本的には無茶はさせないようにしましょう。

これが先ほどのお湯同様、海水になったり、また水中でクラウン(竜頭やボタン等)を押した時にはまた状況が異なります。そしてあくまで表記は出荷時での状態。その後の使い方やメンテナンスの状態によっては数ヶ月で防水性能なんてダメになることもザラです。それくらいこうした定義ってしっかりしているようで、実は意外といい加減で曖昧だったりします。

個別の特異な例を挙げれば幾らでも「大丈夫」な例は出てくるんです。でもそれだから誰でも大丈夫、という訳ではない。そしてそうした「大丈夫な例」ほど噂や常識として広がりやすい。時計店で働いていた頃には、そんな「販売側の常識」とはかけ離れた「ユーザーの常識」に晒された時計はいろいろ見てきました。

普通に意識されているような使い方であれば現行の表記を目安にされて問題はないのだと思います。また、一般的にスマートウォッチは1年~2年で買い換える方も多いでしょうし、それ程浸水については気にする必要はないかもしれません。

ただ、50m防水(耐水)という言葉だけが一人歩きして、想定以上の酷使のされ方をされないか、それが心配です。

時計メーカー各社の「防水」についての定義。

基本的に各メーカーばらばらなわけではなく規格は統一されているのですが、どういった説明をしているのかは興味があるかたもいると思いますので、リンクを貼っておきます。

防水時計の種類と取扱い上の注意点を教えて | 日本時計協会 (JCWA)

こちらは先ほども触れた、財団法人 日本時計協会。上記で引用させて頂きました。続いて大手3メーカー。

防水について|時計の知識|操作・機能|修理・サポート|セイコーウオッチ株式会社

防水時計でも注意が必要

水や汗が付着した場合は乾いた布でふき取ってください。
海水につけた場合は、必ず真水で洗ってからふき取ってください。
―ガラスの接着面・パッキンの劣化やステンレスがさびることにより、防水不良になる恐れがあります。

入浴やサウナの際は、はずしてください。
―蒸気や石鹸、温泉などの成分が金属を変色・腐食させたりパッキンの劣化を早める可能性があります。

ー水道水は水圧が高く、日常生活用強化防水の時計でも防水不良になる恐れがあります。
直接蛇口から水をかけることは避けてください。

防水時計の取り扱い [CITIZEN-シチズン腕時計]

防水時計などの裏ぶたやりゅうず、ガラスに使用されているパッキングは、外部からの水分やゴミなどの侵入を防ぎ、時計の機能を保護しています。これらのパッキングは長時間の使用により、汗や水分の影響を受け、弾力性が低下したり、もろくなり切れやすくなることがあります。

電池交換タイプの時計の場合は、電池交換時に同時に防水性を保つためパッキング交換も行っていますが、エコ・ドライブ商品の場合は特に定期的な電池交換の必要が有りませんので、定期的な(2~3年に一度)パッキング交換をお勧めします。

製品のお取り扱いについて – 製品のお取り扱いについて – Q&A(よくある質問と答え) – CASIO

個人的に注目したい所は特に上の部分。この辺りきちんと明記されているところは流石に時計メーカーだな、と思います。よく、ソーラーだから電池交換不要、と思われている方も多いのですが、上記のように防水性能は別です。メーカーに出すと電池交換でも高いから、と街の時計屋さんに電池交換に出した。基本的には大きな影響はなくとも、もしその時計が汎用のパッキングを使っていなければ、パッキング自体は劣化したままになる訳です。定期的なメンテナンスは重要だと思います。

防水に関しても、先日の硬度などと同じく、なかなか状況に即した基準というのは難しいのだろうな、と思います。

[1316-201608] ガラス製筐体のスマホが増えてくると、保護フィルムよりも表面コーティング剤が便利になってくるかもしれないので、硬度について改めて考えてみた。

2016.08.10

時計販売店等もそれぞれに防水について説明しています。

時計を販売する最前線(店頭)でもある時計店ではそれぞれにそれぞれのニュアンスで「防水」というものについて発信されています。

腕時計を長持ちさせる秘訣は「防水」を知ること! ~防水時計は2種類ある!?~ | トケイ通信 by KOMEHYO

過信されがちな防水性能。正しい知識と使い方で長持ちさせよう

結構こうした情報発信は難しいんです。私のような個人ブログと違って、少しでも表現に微妙な部分があったりすると、そこを叩かれたり、クレームの原因になったりするので、大きなところほど広報から法律関係から様々なチェックを経てからようやくお店のサイトやブログに載せることになるので、最前線にありながらそうした情報は発信されにくいんですね。

いい加減な情報が拡散することを防ぐ上でも必要なことではあるのですが、それが却って個人の根拠のない「私は大丈夫だった」的方法が常識として拡散されやすくなってしまっているのは難しい問題だな、と思います。

なぜApple Watchは「防水」ではなく「耐水」なのか – ITmedia ヘルスケア

Apple Watch Series 1にはIEC規格60529にもとづくIPX7等級の耐水性能があります。Apple Watch Series 1は防沫性能と耐水性能を備えていますが、Apple WatchSeries 1を水に浸すことは推奨しません。

IPX7等級の耐水性能だと最近ではアウトドア用途のワイヤレススピーカーで完全防水を実現と謳ったモノが大抵このレベルなんですよね。スピーカーで想定される用途であれば実際IPX7等級でも大した事故にはならないとも言えます。ただ、Series 1でIPX7等級でもAppleは水に浸すことは推奨しなかった訳で、

iPhone 7とiPhone 7 Plusは防沫性能、耐水性能、防塵性能を備えており、実験室の管理された条件下でのテストにより、IEC規格60529にもとづくIP67等級に適合しています。防沫性能、耐水性能、防塵性能は永続的に維持されるものではなく、通常の使用によって耐性が低下する可能性があります。iPhoneが濡れている場合は充電しないでください。クリーニングと乾燥の方法についてはユーザガイドをご覧ください。液体による損傷は保証の対象になりません。

ちなみに話題のiPhone7はIP67(防塵等級6級、防水等級7級)です。(先ほどのIPX7のX部分は、防塵等級については未試験、という意味)

スマートフォンで考えられる用途を考えると、日本における防水スマホを考えるとIP67というのは珍しくはないものの、今までのiPhoneに比べればかなり安心して使えるのは確かですね。

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2016.03.03

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