[0179-201404] 靴屋だった私が何故細い靴を幅広のあなたにこそ履いて欲しいのか。

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25.0cm、ウィズEEEE

2014年10月8日 10:00 追記

「甲高幅広」「外反母趾」関連のアクセスが非常に増えてきています。大変ありがたいことで、少しでも甲高幅広の誤解が減ってくれれば嬉しいのですが、公開から半年が経ち、改めて読み直してみると無駄に長い。
またその後も幾つかこうした話は書いていまして、そろそろ一旦まとめたほうが良いのでは無いか、と思いましたので、半年後のまとめを作ってみました。

今までに書いてきたもののリンクもまとめながら、特に先入観や誤解の多い「甲高幅広」と「外反母趾」を中心に、靴と足の関係について書いています。
覚えておくと得をする、お店で喜ばれる靴の見方、履き方にもちょっと触れますので、いつも以上に長くなりますがお時間のある方は合わせてお読み下さい。

甲高幅広と外反母趾に見る、日本人とつま先の関係。 | Life Style Image

「俺、足の形悪いから、特殊な足してるから、こんな綺麗な靴入らないよ」

「最近は細い靴ばかりだね」
「俺、幅広だから細い靴入らないんだよ」
「3E(ウィズ)の靴無いの?」

「若い人」=「トンガリ靴」「先の細い靴」=「幅が狭い」「痛い」

そんなイメージだけが一人歩きし、よく言われるのが、

「俺、足の形悪いから、特殊な足してるから、こんな綺麗な靴入らないよ」

良く聞く言葉です。でも、そもそも綺麗な形の足をした人なんていません。
日々生きていく中で、その人の生活がにじみ出たのが足の形です。

ではそうした綺麗な靴は入らないのか。
あなたの足がそんなに特殊なのか。

こんな時、選んでしまいがちなのが、自分の足は細く無いから、何となくボテッとした靴。見るからに丸くて、太くて、ボテッとした、楽そうな靴は、自分の「甲高幅広」の足でも楽そうです。痛くなさそうな気がする。

そして、目の前にある、つま先の細い靴は、そんな細いつま先に自分の幅広の足が入る訳がないんだから、そもそも除外。入れたら痛そう。窮屈そう。

結果、見るからに楽そうな、更にサイズも上げたブカブカのサイズしか履こうとしない人にたくさん会ってきました。
ブカブカの靴を履くことの弊害は、単に足への悪影響だけでなく、見た目の汚さ(醜い皺や、サイズが合わないことで起きる表面の革切れ、無数の傷など)もあるのですが、今回は全体としての見た目について、です。

「つま先のマジック」-革靴にはつま先に「捨て寸」と呼ばれる、足が入らない余裕がある。-

そんな方にこそ、敢えて一度その「絶対履かない」であろう、細い靴を履いてみて欲しいのです。見た目と履いた時の印象の違いに気付いて欲しい。

ここで、改めて書きます。それが「つま先のマジック」です。

そもそも革靴は何故スニーカーとサイズ感が違うのか。ここでも何度か革靴サイズとスニーカーサイズの違い(革靴のほうが同じサイズでもサイズ表記が小さくなる)について触れていますが、その一つに「捨て寸」の存在があります。

革靴にはつま先に「捨て寸」と呼ばれる、足が入らない余裕がある。
(これ、どこからどう誤解されたのか、踵に指を入れて、指が入った部分=踵の余裕が捨て寸だと思っている人が結構多いのですが)
で、この捨て寸には色々な意味があるのですが、ここでは「つま先のマジック」という点を挙げたいと思います。

革靴はこのつま先の部分をどう料理するか(デザインするか)でその靴の表情が大きく変わってしまう、革靴の「顔」とも言える場所です。この部分を細くするのか、少し変わった形にするのか、反り返らせるのか、穴飾りはどうするのか、等々、そのメーカーやブランドの顔が出てくる部分でもあります。

だから、よくスニーカーと同じ感覚で、革靴のつま先を持つ(触る)人、履いた時につま先部分を力を込めて押す人(余裕があるか見たいのでしょうが)、やめて下さいね。
靴屋で嫌われる代表的な行為の一つです。

指が入らない部分だから、幾らでも長く細く出来るし、色々なデザインも出来る。

一般に「細い靴」、「こんな狭い靴、入らない」と思われている靴は、この捨て寸部分を上手く料理してそういう印象を出しているだけなのです。

そこで、そのつま先部分を隠して、最大幅と呼ばれる一番幅の広いところを、一般に言われる「ブカブカ靴」の最大幅と比べてみてください。もちろんウィズ(日本ならEとか2Eとか)の違いで差は出ますが、「細い靴」が極端に細いわけでは無く、モデルによってはかなり幅広な場合もあることに気付くと思います。

けれど、並べてみると、この「細い靴」は単につま先が細く見えるだけでなく、全体として足が細く見える

これが何度もいう「つま先のマジック」です。

紳士靴は、スーツと同じように、あなたの気にしている体型、見た目の印象を補整する力がある。

この点については、松屋銀座の紳士服バイヤーの宮崎俊一さんが著書の中で体のラインを隠したい時に陥りがちなこととして

私の実体験から申しますと、恰幅がいい人ほど、オーバーサイズの洋服を選ぶ傾向にあるようです。「体のラインを隠したい」というのがその理由なのですが、ここで断言しましょう。全くの逆効果です。

私からすると、太った人をスタイルよく見せるのは、とても簡単なことです。適正サイズのジャケットを着るだけでよいのです。

男性のジャケットというのは、実によくできていて、体のラインを補整して見せてくれます。つまり、本人の体にくびれがなくても、シェイプされたジャケットをきちんと着れば、ウエストは締まって見えるのです。

と書かれていますが、靴についても同じことが言えると思います。

余程のデザイン最優先の靴でも無い限り、国内で販売している靴に極端な幅の違いはありません。

昔の女性のパンプスなどは、かなり足に無理をさせるような形をしていて、我慢して履いていた方も多いと思います。それが外反母趾や内反小趾に繋がり、靴は痛いもの、とがった靴は足に無理をさせる、というイメージに繋がっているのだと思います。

でも、余程のデザイン最優先の靴でも無い限り、紳士靴、特にビジネスシューズにおいて、そうした靴はほとんどありません。そもそもそんなデザイン最優先の靴自体が形以前に恐らく見た時点でそうした方は履こうとは思われないと思いますが。

人間は自分の気にしている部分を隠そうとするあまり、例えば体のラインが気になれば、それを隠すようにダボダボの服を着ようとします。休日服なんてそうですよね。

スーツに関してはジャケットの前ボタンを留めないのは、単に窮屈とか、動きにくいといった部分が勿論大きいとは思うのですが、あれもサイズ選びが間違っていることも多いです。けれどそれが結果として、前が留まっていないために、またオーバーサイズなために、余計に太って見えてしまうことになる。

革靴も、「つま先のマジック」で足を綺麗に、長く見せることができるのに、逆にそのマジックが先入観として「自分の足には痛くて入らないのではないか」と、履く前から選択肢から外されてしまうことになってしまう。

それくらい、先入観を与えられるくらい、靴のつま先の効果(勿論それはつま先だけで無く、全体のフォルムの作り方も大きいのですが)は大きいんですね。

そこで、初めに戻ります。

勿論例外はあります。また、敢えて極端な言い方をしました。
個々の足の状況(何かしら障がいを抱えていたり等々)はありますが、それは除きます。
また、足に合わない場合もあります。(ただ、それは単に「その靴の木型が」あなたの足に合わなかった、というだけなのですが)

けれど、

幅広だ、足の形が悪い、特殊だ、という人こそ、

一度細い靴を履いてみてください。足を入れてみてください。

またその方が、実は足にとっても良かったりすることも多々あります。
(それについては別の機会で)
ここでは一貫してサイズの合わない靴は薦めていませんが、主にオーバーサーズの靴に関して特に強く薦めていません。

そして、鏡に映る自分の足元と、全体を眺めてみてください。

価値観がガラリと変わります。

「あ、そういうことなんだ」と今までの価値観が変わった時、靴選びが楽しくなったり、(そこまでいかなくても)もう少し靴に選択肢が出てきます。
その上で、細い靴を選ぶ、選ばないは自由です。

見た目の細い、太い、広い、狭いに惑わされずに、ご自身にとってより良い靴を選べるようになるのであれば、それって嬉しいことではないですか?

ただ、その場合、なるべくスタンダードな靴のメーカーやブランドから始めて下さいね。いきなりデザイナーズブランドに分からずに手を出すと、そもそも靴の形(作り)として失敗していることもありますから。

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