[0700-201503] カールロッシュの手揉みベビーカーフ黒。これにピンときた方は是非続きを御覧ください。

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昨年何回か触れながら、一度もブログに出さなかった一足です。なぜなら、私の中でどうこれを出せば良いかまとまらなかったから。このブログで散々フィッティングや革質云々について偉そうなことを書いているだけに、書き方によっては革質万歳、伝説ありがとうなだけの話と受け取られてしまうのではないか、と思ったのです。

今週末から春のパターンオーダーフェアが始まるそうなので、ちょうど良い機会でもあり、ちょうど番号もキリの良い700ということで、今月の第一弾としてご紹介します。

私と銀座ヨシノヤの出会い。

銀座ヨシノヤのパターンオーダーといえば一部では非常に有名です。元々作りの素晴らしさは以前から評価されていましたが、一躍一部の靴好きの間で今も話題になっているきっかけの一つが、2008年から始まったパターンオーダー会で限定数でオーダーが可能だったこのデッドストックレザーです。

銀座ヨシノヤは創業から108年目。(1907年創業)。古くから日本人の足元を支えてきた名門です。当然工房や革の卸業者その他の繋がりは新興の靴ブランドやメーカーとは年季が違います。そんな中で手に入るデッドストック、靴好きが期待しないわけがありません。

私が銀座ヨシノヤに最初にお世話になったのが2008年。幸運にもその時期は銀座ヨシノヤから歩いて数分の場所で働いていました。そうした関係で時間があれば伺っては、こうしたパターンオーダー会の度にカールロッシュやカールフロイデンベルグなどなどデッドストックレザーで毎回作って頂きました。

旧西ドイツ最強のタンナー カールロッシュの手揉みベビーカーフ黒。

そんな一つ、カールロッシュ。旧西ドイツ最強のタンナーにして、操業時は今でも人気のカールフロイデンベルグさえ凌駕したといわれる革を出していたという噂。

銀座ヨシノヤ2014年春の新作 前編 [男の靴・スニーカー] All About

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ただ、こうした伝説というのは何を根拠にしているか分からないし、稀少だから素晴らしいというわけでもありません。希少感なんて、幾らでもストーリーとともにつくり上げることが出来るんです。良くも悪くも日本においてホーウィン社のコードバンがもてはやされているのと同じです。

革質、革の良さ、ということについては以前も何度か書きました。正直、良いかどうか、何を素晴らしいか、というのは人それぞれです。

その人が素晴らしいと思えば素晴らしい、けれどそれは万人にとって素晴らしいとは限りません。人それぞれの履き方やスタイル、求めるものが違うからです。

[0248-201406] 馬革と牛革。というより、コードバンとガラス仕上げのステアについての色々。 | Life Style Image

まして今回(といっても作ったのは昨年春のオーダー会ですが)の手揉み革の黒は限定一足のみ。その手揉み革が本当に当時のカールフロイデンベルグすら凌駕していたかどうかなんて私は当時の革を知らないわけですから、分かるはずもない。まして本当にカールフロイデンベルグが素晴らしいかどうか自体、人によって意見は違うと思います。

そうした色々な想いが、今までこのブログでこの靴を一切出さなかった大きな理由でもあります。

なんて引っ張って勿体ぶっているような気がするので、いい加減写真出します。

別に勿体ぶりたかったわけでもなんでもなく、私にとって、革質というのはとても複雑な気持ちが渦巻く話題のため、つい言い訳したくなっちゃうんですね。

ということで、今回の手揉みのベビーカーフ黒のモデルをご紹介します。

それがこちら。

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素晴らしい。シンプルビューティーです。革の表面を見てみましょう。

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僅かに浮き出たシボ感が、この靴の上品さを際立たせています。表面に光の乱反射が生まれることで、表情が豊かです。

って、違うでしょ。

ワザとやりました。ごめんなさい。このブログを以前からご覧になっている方にはしつこいくらい私が暑くなる、三交製靴のラギッドシューズです。

[0687-201502] 三交製靴ラギッドシューズ5足目。正直勝手に困ってしまった理由。 | Life Style Image

なんでこんなことしたのか。別に三交製靴や銀座ヨシノヤをバカにしているわけではなく、恐らくここまで読まれた方の何%かは、上のラギッドシューズを伝説のカールロッシュだと勘違いしたのではないか、と思うからです。

写真じゃわからないでしょ。これが最高のベビーカーフと言われても。そんなもんです。あ、私の撮り方が下手だからだ、という指摘はご尤もです。それが一番の理由かもしれません。ごめんなさい。

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こちらがその銀座ヨシノヤ、パターンオーダーの九分半、ウィズE、革カールロッシュ手揉み革黒の一足です。サイズは26.5センチ。特注品です。

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こちらが少し近づいて撮った、革の表面の表情です。なんだ、普通のストレートチップじゃん、と思われる方も多いと思うんです。

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細部を見ていけば、この靴が非常に緻密に、美しく作られているのは分かります。しっかり手にとって比べてみれば、確かに値段だけの価値、いや、それ以上に手間もかかっていれば、技術も素晴らしい。だからこそ、この革が生きてくる。だから実際に履いているところを間近で見れば、確かにいい靴を履いているなぁ、と分かると思います。

本当に良い靴です。

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それは自信を持って言えます。なぜなら、私はこれ以降、黒ストチを買っていないからです。ちょっと語弊があるな。正確には、黒ストチの自分の中での終着点を探すのを止めた、と言えばいいのかな。理想の一足、というものを追い求めていくのをやめた。打ち止めにした、とも言えます。

もう良いんです。勿論、世の中にはそれぞれの人にとっての、その時々によっての理想の一足というのがあるのだと思います。私も変わります。私の好みも変わります。理想の一足なんて、一生かかっても出会うことは無いでしょう。そういうものなんですね。

それを追い求めていくのをやめた、という表現が最も適切なのかな。

これが完成して、受け取った時、自分の中で、もういいな、と思ったんです。だから、その後は結構気楽です。おかげで三交製靴のラギッドシューズを心から楽しめています。私のお気に入りの靴ばかりです。

それは全て、この銀座ヨシノヤの靴で自分の中でスッキリしてしまったんですね。賢者モードです。ごめんなさい。例えが悪い。

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靴に飽きたのではなく。

勿論靴は今でも大好きですし、これからも靴屋に行っては、もうっもうっもうっ!ってなると思います。きれいな靴や、良い靴に出会うとたまらなくなっちゃうと思います。何も変わらないと思われるかもしれません。

私の好きなストレートチップはたくさんあります。靴のハシモトの信義、妻からもらったクロケットのオードリー、私の革靴の原点ロイドのホワイトホール、他にも色々。勿論この銀座ヨシノヤのストレートチップもその一足。だからどれが一番とかそういうことはありません。あ、妻にもらった一足だけは別格。

[0666-201502] 私にとってストレートチップが特別な理由。全ては人とのご縁から生まれる。羽田の名店 靴のハシモト。 | Life Style Image

何か当初書こうと思っていた方向とズレてしまった気もしますが、それくらいストレートチップ一つとっても、とても奥が深い世界なんだろうなぁ、と思っています。だから良いんですね。

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ちなみに銀座ヨシノヤの次のパターンオーダーフェアが今週末6日(金)から始まるようです。そろそろAll Aboutで飯野さんも取り上げられる頃でしょうか。ご興味のある方は是非。

日本に、うつくしい歩み。銀座ヨシノヤ

飯野 高広のガイド記事一覧 All About

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2016.03.03

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