[0997-201508] 何故後世に残そうなんて微塵も考えて作られていないチプカシが僕たち私たちを惹きつけるのか。

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ここ最近妻と私が愛用している腕時計。ただ愛用と言っても妻は元々時計にコダワリなんて微塵もなく、けれど仕事上必要なこともあるので私があげた時計をそのまま使っています。

[0762-201505] イラクやチェルノブイリで活動する妻の腕にはいつもSEIKO SBCM023がある。 | Life Style Image

0995-201508_CASIO and SEIKO 02

この辺りの腕時計に関しては今までにも何度も触れてきてますし、それぞれ個別カテゴリにしていますので、興味のある方は合わせてご覧頂きたいのですが、今回は中でもチプカシことCASIO STANDARD DIGITALについて、私が調子に乗って虎の威をかって生意気申したいと思います。

日本が世界に誇る時計ジャーナリストの虎の威をかって、今から私が生意気申します。

先日、日本が世界に誇る時計ジャーナリストの一人、

広田雅将さんから大変ありがたい、恐縮してしまうようなツイートを頂きまして。

その後広田さんはチプカシを購入され、時々腕にされているようです。そんな中でとても印象に残るツイートをされていたので、改めてチプカシの魅力を考えてみたいと思います。

「熟練した人たちが即興で作った点。後世に残そう、なんて微塵も考えていないんですね。だけど今に残っている。」

普通に書かれていますが、これって結構凄いことで、単純にパテックのRef.96と並べて価格だけで判断している内には気づかないことでもあります。そして同様に、これはRef.96を知っている広田さんだからこそ言える言葉でもありますが。

私が常日頃このブログの軸として考えている定番ってなんだろう、と改めて思う。

「定番」という言葉は「一生モノ」と同じくらい、使い方が難しい言葉で、決して存在しないわけではないのだけれど、誰かが決めたからそれが「定番」になるわけでも「一生モノ」になるわけでもないわけです。「一生モノ」はよく特集組んでくれるのでそれを買えばとりあえず「一生モノ」だと満足できるかもしれませんが。

[0224-201406] 一生もので買っても一生ものにはならないと思う。 | Life Style Image

「定番」も同様だけれど、ただ、世の中で「定番」として残っているモノって、決して作った時には「後世に残る定番を作ろう」なんて考えていないと思うのです。そんな気負って作ったって、第一時代も変われば感覚も変わるわけで、制作側の意図程度で人の日常に溶け込むなんてものはそう簡単に出来るものではありません。

チプカシが「定番」かどうかは分からないけれど、結局今も残っている。

0964-201508_cheap CASIO

「続ける」ということはとても難しいことです。幾ら続けても、それが欲しいと思う人がいなければ、そしていたとしてもそれを作り続けるだけの様々な条件が整っていなければ作り続けられません。

チプカシが果たしてどれだけ売れているのか、正直よく分かりません。けれど大量に出回っていることだけは確かだと思います。けれど大量に出回るだけであれば、100円ショップの腕時計だって大量に出回らせられるし、怪しげな雑貨店などに行けば幾らでもこんな時計は出回っているように見えるのです。

その一つの理由は些細なことだけれど、カシオだったからではないかと思うのです。

ここまで風呂敷広げておきながら、結論はこれか、と言われるかもしれませんが、これは結構大きいと思うのです。

CASIO STANDARD DIGITALは、カシオなんです。これには様々な意味があるのだけれど、単純に言えば、こんな即興で作ったかのような時計には、誰にでも分かりやすい名前が付いているんです。それが「CASIO」なんです。

この時計は、「REGUNO」(CITIZEN)でも「Q&Q」(CITIZEN)でも「WIRED」(SEIKO)でもないんです。「CASIO」なんです。どこでも「CASIO」なんですよ。A158WだF-91Wだといったのは単に品番、型番に過ぎないんです。あくまで「CASIO」です。

名前が付いた時、その時計はその会社を身に纏う。

SEIKOにもSEIKO 5という名品がありますが、これも結局何だかんだと途切れずに先日50周年を迎えました。

これも一応5とは付いていますが、人が見れば単なる「SEIKO」なんです。

[0225-201406] 50年変わらず、世界で愛されて今も出続けるSEIKOを代表する時計 SEIKO 5 Automatic | Life Style Image

それぞれのコンセプト別に名前が付く、というのは確かにブランド化した時には強いのかもしれません。けれど、何よりも強いのはその会社の名前だと思います。ダサいだ何だ言われようが、SEIKOには「SEIKO」と入っていることが大切なんです。CASIOも同じです。

それは、能率手帳が幾ら最近NOLTY(ノルティ)と生まれ変わろうが、生まれ変わった時点で歴史もそこからスタートです。定番として残るのは「能率手帳」であり「NOLTY」ではないんですね。

そのメーカーの名前だけが付くと、余計なモノはつかなくなる。

0767-201505_CASIO A158W 04

結局大きくブレないともいえますね。名前を冠する以上、今年出して終わりのような作り方はしない。とりあえず開発陣の実力派メーカーの実力でもあります。その上で、けれど気負っていない。どんなにメーカーがブランド化して高級路線に方向を変えても残り続けるのがこのラインです。

カシオがCASIO STANDARD DIGITALを出さなくなった時、それは今までのカシオが終わるとき。

0997-201508_CASIO A158W

別にチプカシに社運を賭けているわけではなくて、これが出なくなったら、それは全く別のメーカーに変わる時だと思うんです。能率手帳もそういう時期に来ているのかもしれませんが。

私たちはそんな細かいことを常々考えながらこの時計を選んでいるわけではないのですが、却ってそういうことを全く考えなくて良い立ち位置にいるからこそ、このチプカシが適当に細く長く続いているのかな、と思います。

[0905-201507] 樫尾俊雄発明記念館(成城学園前)は昭和の経済成長期の発明と競争の歴史を感じられる素晴らしい空間でした。 | Life Style Image

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