[0339-201410] 甲高幅広と外反母趾に見る、日本人とつま先の関係。

スポンサーリンク
EEEE幅広タイプ

先月辺りから他を引き離してアクセスが多いキーワードが「甲高幅広」です。
iPhone6と6plusが発売され、このブログにもいつもとは違う層の方々の一時的なアクセス増がありました。
通常の倍以上のPVの日が続いていたのですが、そんな影響などお構いなし、いや、更に勢いを増して「甲高幅広」はアクセスを伸ばしています。

靴屋だった私が甲高幅広のあなたにそれでも幅広を薦めない理由。 | Life Style Image

大変ありがたいことで、この話で少しでも甲高幅広の誤解が減ってくれれば嬉しいのですが、公開から半年が経ち、改めて読み直してみると無駄に長い
またその後も幾つかこうした話は書いていまして、そろそろ一旦まとめたほうが良いのでは無いか、と思いましたので、半年後のまとめを作ってみます。

今回は特に先入観や誤解の多い「甲高幅広」と「外反母趾」を中心に、靴と足の関係について書いてみました。
覚えておくと得をする、お店で喜ばれる靴の見方、履き方にもちょっと触れますので、いつも以上に長くなりますが気になる部分のみつまんでお読み下さい。

日本人は甲高幅広と外反母趾が大好きです。

とにかく好きですね、甲高幅広と外反母趾。合言葉のようなもので、照れ隠しもあると思うのですが、お店にいたとき真っ先に言われるのがこのどちらかの言葉でした。
中にはいくら色々とご説明して、実際に履き比べて頂いても、頑なに「いや私は幅広だ」「それでもやっぱり幅広じゃないと心配だから」と譲らない方も結構いらっしゃいますが、その場合はお客さん優先。
幅広というのはそれだけ安心感を与えてくれるものなのです。

甲高幅広とただの幅広と幅広もどきは明確に分けて欲しい理由。 | Life Style Image

幅広でも、最近多いのは、

そもそもあまり足自体が厚くなくて、筋肉自体ついていないパターン。
歩くこと、というよりも、楽な靴をスリッパ感覚で履いて歩くので、必要な筋肉があまりついていないパターン。もしくは、ご年配の方だと、ちょっとでも当たると嫌だから、ぶかぶかでフワフワの柔らかい靴ばかり履いて、足の筋肉がすっかり衰えてしまった人。

この場合、幅はあっても足自体が薄い場合があるので、単純に太い、ゆったりした靴を選ぶとかえって辛くなります。

もしあなたが外反母趾なら、自己判断で靴を選ばずに、一度しっかり靴屋で相談して欲しいなぁ。大抵大きいサイズ履いて悪化させてるから。 | Life Style Image

外反母趾。どこの部分が何故痛いか正確に分かりますか?

外反母趾の人が痛い場所。そんなの、当たり前でしょ、と親指の付け根外側部分の、骨が出てしまった部分を思い浮かべた方。半分正解です。

では、何故痛いんですか?

これを聞くと、皆さん、なんでそんなバカみたいな質問をするんだろう、と怪訝な顔をされます。

骨の出た部分が硬い革靴に当たるから痛い。そもそも狭い、小さい靴を履いたから、この部分が当たって、出てきちゃったんでしょ?

こう思われている方がとても多いんです。

外反母趾は(実際の医学的判断は別として)比較的見た目で本人にも分かりやすいのですが、痛みの原因が分かっていないと、かえって悪化させることになります。

この時学んだのが、どんなに定義上、判断上はこちらが正しかったとしても、唯一の正解はお客さんご本人の感覚だと言うこと。
私が幾らこちらの靴だと益々足を傷める、と思っても、その靴の方がお客さんにとって安心出来るのであれば、そちらのほうがベターなんです。
何故なら、安心して履ける、ということは、リラックスして履ける、ということ。そして、その感覚に合わせた歩き方に身体が適応しているから。
だから幾ら足に良いと思っても、足には負担が少ないと思っても、それが不快であれば、結果として足を傷めてしまうこともあるのです。

腰痛と足の関係。足のむくみと利き足の関係。 | Life Style Image

そこで、ふと気付きました。利き足のこと。私の場合、歩くとき右足の蹴り上げはかなりしっかり、また力強いな、と感じます。左は添える程度。もうそれが普通になっているのですが、靴底の減り方やシワの入り方を見ても、それがハッキリ分かります。左足は靴によっては小指を無意識に庇って歩くので、あまり力は強くなく、重心もずれている。靴底も靴によっては小指近辺だけ綺麗にほとんど削られていないこともあります。

それで、右足はほとんどむくまず、左足はむくみが大きい。当たり前と言えば当たり前なのですが、面白いなと思います。左足はむくむと指が当たりはじめたり、きつくなるので、ますます蹴り上げない。ふくらはぎの筋肉なども使わないので、筋肉がつかず、ポンプの力も衰えてしまう。衰えてしまうので、ますますむくむ。その悪循環。

だから当時は、頑なにオススメするのではなく、押し通すのではなく、感覚を優先してもらいました。判断はお伝えしますが。
どの靴屋さんも基本的にはそのスタンスで最後はお客さんの感覚、判断を優先させていると思います。
ただ、ここは個人のブログですので、自由に書きたいと思います。

日本人はつま先が大好きです。行動編。

靴のつま先を持たない理由

これも多いです。ひとつは行動として。靴を持つとき「つま先を持って持ち上げる」。そして「履いた後につま先部分を力を入れてグイグイ上から押さえる」。どちらも駄目です。

知っておいて損はないと思う、革靴のつま先を持ってはいけない理由。 | Life Style Image

あなたはペットショップで、可愛い犬や猫を抱きかかえたいと思った時、頭や顔を持ちますか?
可愛い赤ちゃんや子どもを抱っこする時、頭を鷲づかみして持ち上げますか?
花屋さんで綺麗な花を見つけて手に取る時、花びらを触りますか?
眼鏡屋さんで眼鏡を買う時、眼鏡のレンズ部分を持ちますか?
どれもに共通するのは、それぞれにとって、最も大切で繊細な部分だということ。

靴のつま先部分に全重心がかかる、というのは、靴にとっても負担が大きいですし、持っていて不安定になります。またつま先がもっとも目を惹きやすい部分です。

スニーカーの時のクセなのか、踵に指を入れるのと同じくらい多いのがつま先に余裕があるか見るために、何も言わずに突然つま先を潰そうとする人。
芯が入っている、と書きましたが、入っているだけに、ここを力を入れて潰されると、元に戻らなくなることもあります。つま先を触られる以上に、商品としてダメになってしまう行為なので、これも気を付けて下さい。

この二つの行動に気を付けるだけで、お店での印象アップ間違いなしです。それくらい多すぎて、店員さんもいちいち反応するのがウンザリなほど。高級靴売り場でも平気でしている人が結構いますので、靴の高い安いはあまり関係ないようです。

日本人はつま先が大好きです。感覚編。

もう一つが感覚として。靴に足を入れた途端、中で足を先の方に突っ込む。俗に言う「スリッパ履き」。つま先に無意識に力を入れて履いて歩くパターンです。
街歩いている人を見ても、だいたい分かります。こういう人。踵部分に指2本分くらい隙間が空いている。本来よりも前、つま先よりに余計な履き皺がついている。

このスリッパ履きにも色々原因はあるのですが、サイズ選びの間違いとともに、靴べらの使い方にも原因があるんじゃないかな、と思います。

靴べらを中敷きに付けると・・。

あまり意識することがないけれど、結構大切な靴べらの正しい使い方。 | Life Style Image

これは若干極端ですが、靴べらを中敷きに付けるパターン。これをやると、中敷きを抉ることになるので、徐々に破れたり穴が空いてきます。特に、靴紐を緩めずに(もしくは最初から緩く結んだ状態で)強引に靴を履く人の場合、かなり強引に、力を入れて押し込むので陥没している場合もあります。

これやることで、足にも靴にも負担が大きいのですが、とともに、靴に足が入った時点でかなり足が前に入ってしまっているんです。踵部分が余裕が出来てしまっている状態。
この状態で「キツい」「指が当たる」と感じて、より大きい、より幅広のモデルを、と考える方が多いので、一度ご自身の靴べらの使い方をチェックしてみて下さい。

女性の場合は特にパンプスなどの場合には靴べら使わずぐいぐい足をねじ込むように突っ込んで履く方も結構います。これも同じで、この時点で足を支えてくれる、前にいかないように押さえてくれる履き口周りが伸びてしまいます。

今回のテーマ。甲高幅広や外反母趾とつま先の関係。

今まで色々と書いてきましたが、甲高幅広の人も外反母趾の人も、このつま先で履くことが一番の原因なんじゃないかと思うようになっています。

甲高幅広だから、幅広の大きめのモデルを選ぶ。
いつものように、靴紐を解かずに強引に履けるくらいの緩い状態で履く。
つま先の方に足を突っ込む。

外反母趾だから、幅広の大きめのモデルを選ぶ。
当たると痛いから、とほとんど靴のどこにも足が当たらないくらいの大きさで履く。
つま先の方に足を突っ込む。

どちらも足の前半分に負担をかけて履いています。そのまま歩いています。だから、負荷が一部分に集中しやすいんです。

甲高幅広(だと思っている)方は、そのキツいと思っている部分に負荷が集中している。
外反母趾の方は、指先が左右(のどちらか重心のかかる方)から圧迫されている。

slooProImg_20140520151501.jpg

なので、まずは外反母趾の方

大きな靴を選べば選ぶほど前に負荷がかかります。かといって、中敷きを全部敷いてしまうと、踵が浮きやすくなります。浮きやすくなれば益々指先に力が入ります。
そこで、前半分にだけ敷く中敷きを検討してみて下さい。

甲高幅広の方

甲高、幅広、だからキツいのがイヤ、と靴紐を緩めに縛っていませんか?もしくは脱ぎ履きが面倒だから、と紐自体ほとんど縛っていない、など。
靴紐をきちんと縛ることで、足が前に行くことを防ぎ、踵の浮きを押さえ、足の一部分だけに集中して負担がかからないようにしています。
緩く縛れば縛るほど、押さえがない分、足は靴を今、痛い、キツい、と思っている部分「だけ」で支えようとするために、そこだけに負担がかかるんです。
だからそこだけに痛みを感じやすい。外反母趾の方が指先にだけ負担がかかっているのと同じです。

slooProImg_20140522154257.jpg

ちなみに、夏場に汗をかくから、とゆったり気味もしくは大きめのサイズを選ぶ方が結構いますが、逆効果です。

暑くなってきたので、革靴の中の汗とムレと不快について考えてみる。 | Life Style Image

→ ゆったり履けば涼しくなる、ムレが無くなる、と思っている人、多いですが、逆です。山でもスポーツでも、身体から汗を早く逃がすためには、なるべく密着させた上で、早く外側に発散させ、中に戻さないことが大切。ぶかぶかに履けば、靴の中の僅かな空間に湿気が留まり、ますます不衛生です。乾きなんてするはずがない。

また、湿ったままの状態で、ゆったり気味で靴を履くと、まさに靴擦れしやすい条件がしっかり整ってしまいます。

そして、ぶかぶかの靴を履く時、人は靴の中で足が動かないように無意識に足に力を入れて歩くので、疲れます。緊張するので汗をかきます。そして、緊張した時の汗というのは、単に暑い時にかく汗と違って、とても臭います。

汗にも二種類あるそうで、緊張したときの汗が臭いのは出てくる物質が違うからだそうです。旦那さんや彼氏の足が臭い、とお悩みの女性は、下手にスプレーや中敷き買うよりも一度どういう靴の履き方をしているのかチェックしてみるのがオススメです。そのサイズ感で靴履いてる時点でいつまで経っても足のニオイはなくならないと思います。

靴のサイズについてのおさらい。

最近は靴もネットで買えるようになったので、自分のサイズ(だと思い込んでいる)で注文して、それで適当な感覚で履いてしまう方が増えました。
スニーカーのサイズでジョンロブなど高級靴をネットで買って、合わずにオークションに格安で出品して下さる方も多いので、靴の相場も下がって靴好きには有り難い環境になりました。

靴屋だった私が甲高幅広のあなたにそれでも幅広を薦めない理由。 | Life Style Image

革靴って履きたくて履くと言うより、仕方なく履く場合が多い。しかも、実際に多くの方に接して感じたこととして、男性の場合特に一部を除き、服や靴を選ぶ、買うことが面倒、という方が多い。もう選ぶの面倒だし、仕事で忙しいから、と奥さんに買ってこさせる、という方、多いです。

だから、慣れたスニーカーの時のサイズに足を入れて、とりあえずどこも当たらなければ(これが革靴だと大きな問題になるのですが)問題なし。どこか当たった場合は、痛いの嫌だから(子どもの頃の嫌な記憶)更に大きくする。

それを象徴するのが、オークションなどで革靴の全長と最大幅を質問してくる方が多いと言うこと。革靴とスニーカーのサイズ表記の違いについては上でも触れましたが、分かりやすくするため敢えて誤解されるのを承知の上で書くなら、足(木型)のサイズか、靴のサイズかという違いがあります。革靴の場合全長を幾ら聞いても、そもそも捨て寸が靴によって全く違うので、あまり判断のしようがありません。時代時代によってもだいぶ変わってきますし。

靴屋だった私が何故細い靴を幅広のあなたにこそ履いて欲しいのか。 | Life Style Image

指が入らない部分だから、幾らでも長く細く出来るし、色々なデザインも出来る。

一般に「細い靴」、「こんな狭い靴、入らない」と思われている靴は、この捨て寸部分を上手く料理してそういう印象を出しているだけなのです。

そこで、そのつま先部分を隠して、最大幅と呼ばれる一番幅の広いところを、一般に言われる「ブカブカ靴」の最大幅と比べてみてください。もちろんウィズ(日本ならEとか2Eとか)の違いで差は出ますが、「細い靴」が極端に細いわけでは無く、モデルによってはかなり幅広な場合もあることに気付くと思います。

最大幅も多少の参考にはなりますが、今回も最初の方で取り上げたとおり、靴のフィット感は横幅だけでは決まりません。足の厚みや形との相性も大きいので、単に横の長さだけ合っていても、大きくても、足がキツく感じることは多々あります。それに、ネットで表記されている最大幅も全長も、計る人によって場所が違う場合も多いので、結構いい加減です。

最後に、いつも伝えたいこと。

slooProImg_20140523084747.jpg

お手入れ、しましょうね。お手入れと靴磨きは別物です。これ、毎回しつこいくらいに書いているので、ここでは先日書いたばかりのものを紹介するに留めておきます。

台風19号上陸を前に、雨用の靴についての過去に書いた内容をまとめてみました。 | Life Style Image

デザインに関しては、好きにすれば良いのですが、元々靴に興味のない方ほど、下の二つは参考にして頂けるといいなぁ、と思っています。

靴屋だった以前に靴好きの私が新社会人のあなたにそれでもストレートチップを二足目として薦める理由。 | Life Style Image

靴屋だった私が人気のスワールトゥをビジネスに薦めない理由。 | Life Style Image

喫茶の一風景

こうして振り返ってみると、結構な数書いているな、と思います。内容は重複していたり、くどい部分も多々ありますが。

ただ、最後に伝えたいのは、私は靴屋で働いていたこともありますが、こうした文章は別に靴業界を批判したい訳でも、お客さんを馬鹿にしたい訳でもありません。むしろ逆です。どうしても自分の専門分野って、当たり前のような気がしてしまって、伝えるのを怠ってしまうことが多々あります。また、そうした世界にいる限り、これらのことをネットなどで書くのは難しいんです。一つはコンプライアンスその他の問題。また、間違ったこと、曖昧なこといい加減なことは書けません。もう一つは、販売の仕事って結構夜も遅くて肉体労働。あまり家に帰ってまでネット云々ということがほとんどないんです。まして自分の仕事絡みの(靴屋なら靴、時計屋なら時計)情報を帰宅後も趣味で調べることはかなり少ないんじゃないかと思います。いろいろな事情があるのですが。

私が書いていることも、全て正しいとは思っていませんし、明らかに違うだろ、ということも専門の方から見れば色々あると思うのです。そうしたご指摘は大歓迎です。いや、むしろこうした話が突っ込みどころ満載で、よりそれぞれの専門の方から突っ込みが入って話が活性化してくれた方が良いのになぁ、と思うくらいです。別にこのブログで、という訳では無くとも、それぞれがそれぞれの立場で色々な場所で発信して下さるようになれば嬉しいな、と。あ、悪意のあら探しはやめて下さいね。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

当ブログの「靴のお手入れ」と「選び方」が一冊の電子書籍になりました。

2014年4月から当ブログにて公開してきた200以上の「靴のお手入れ」と「靴の選び方」に関する文章をベースに加筆・修正を行い(実際にはほとんど書き直しました)、この度電子書籍として出版しました。 Kindle端末がなくても、お使いのiPhoneやiPad、Androidスマートフォンでも読むことが可能です。

このブログによく訪れてくださるあなたへ。

新しい記事があるか、毎回見に来るのは面倒ではありませんか? このブログでは、更新時にあなたのスマホなどにプッシュ通知でお知らせする「Push7」というサービスを導入しています。

[1187-201603] サイト更新時にプッシュ通知でお知らせする「Push7」に対応しました。

2016.03.03

登録、解除はいつでも可能です。特に何か会員登録や個人情報等の入力は必要ありません。新しい記事が更新された際にお知らせ致します。 ぜひご活用下さい。